羊頭狗肉 2013 9 29
2013年9月29日の産経ニュース電子版には、このような記事があります。
シリアの化学兵器、内戦下の作業 短期間での「完全廃棄」不透明
国連安全保障理事会の決議採択を受け、
化学兵器禁止機関(OPCW)は、
週明けからシリアの化学兵器に対する査察作業を本格化させ、
2014年前半の化学兵器廃棄完了を目指す。
だが、内戦下での作業に困難が伴うのは必至。
旧カダフィ政権下の2004年に、
化学兵器禁止条約に加盟したリビアでは、
その直後から、保有する化学兵器の検証・廃棄が進められたが、
いまだに作業は継続中で、完了予定は2016年末だ。
政権崩壊に至った内戦時には作業が中断されている。
(引用、以上)
結局、化学兵器は、廃棄されないかもしれません。
その上、シリア内戦は、10年も20年も続くでしょう。
もちろん、中東で、「最終的な戦争」が起これば、
あっという間に決着がつくかもしれません。
それは、中東の不幸どころか、世界の不幸でしょう。
それでも、アメリカにとって、「対岸の火事」でしょう。
アメリカでは、シェール革命によって、
石油も天然ガスも輸出するほど豊富になるでしょう。
つまり、アメリカにとって、中東は不要になったのです。
「羊頭狗肉」とは、
羊の頭を看板に出しながら、実際には狗(いぬ)の肉を売ることから、
見かけが立派で実質がこれに伴わないことです(広辞苑)。
この四字熟語は、
中国の宋時代の有名な禅の書である「無関門」に出てくるそうです。
シリアの勝利 2013 9 16
2013年9月15日のベイルート発のロイターの記事には、このような記事があります。
ブルッキングス・ドーハ・センターのシャディ・ハミド氏は、
アトランティック誌に寄稿し、
「(シリア大統領の)アサド氏は、化学兵器使用に対し、実質報酬を与えられている。
アサド氏は、従来の兵器を使用している限り、
何をやっても罪を逃れられるようになった」と指摘した。
(引用、以上)
オバマ政権の迷走が、結果的に、世界の独裁者を助長させている。
これが、「世界共通の感想」でしょう。
そもそも、本来であれば、アサド政権による人権弾圧や
市民への残虐行為を問題にすべきところですが、
いつの間にか、シリア問題が「化学兵器の使用問題」にすり替わってしまいました。
この時点で、シリアの勝利・アメリカの敗北は決まったのです。
このままでは、シリア内戦は、10年も20年も続くでしょう。